日本学術振興会「課題設定による先導的人文学?社会科学研究推進事業」に本学取組みが採択、文理融合研究で演者と観客が共創する空間づくりへ
2017/11/17
埼玉大学を中心にした学際研究グループの共同研究「観客と共創する芸術―光?音?身体の共振の社会学的?芸術学的?工学的研究」が、日本学術振興会の『課題設定による先導的人文学?社会科学研究推進事業』(領域開拓プログラム)に採択されました。
本研究は、日本的文化の伝統に導かれた光と音と身体の共振によって、演者と観客が共創する新しい芸術空間の創造と実践的研究を行い、また、人々の「共同的愉悦の価値」を、文理融合の研究者によって共同で研究しようという試みです。本研究では社会学?芸術学?日本文化研究と情報工学の共同研究によって共同的愉悦を生み出すと共に、その文化的価値を評価することによって新しい人文?社会科学の領域を開拓します。
左から)加藤 有希子准教授、井口 壽乃教授、久野 義徳教授、山崎 敬一教授、小林 貴訓准教授、ビュールク?トーヴェ准教授、福田 悠人助教
マネキンが持つペンライトは小林准教授が開発。アイドルの動きや歌声に連動して光ったり、振動します。
研究者からのコメント
研究代表
山崎敬一(人文社会科学研究科?教授)
「埼玉大学から学際領域推進サポートを同時に受け取ることができ、『アイドルと観客が共創する空間』というシンポジウムや公開実験を2017年10月28日に開催するなど、研究は順調にスタートしました。皆さまの協力に感謝します。今後は、社会学と情報工学の共同研究を日本的芸術(ポップカルチャーや歌舞伎やデジタルアート等)の分野に展開していきたいと考えています。」
インタラクティヴ技術開発と実験グループリーダー
小林貴訓(理工学研究科?准教授)
「シンポジウム「アイドルと観客が共創する空間」では、双方向アイドル応援システムの実演をさせて頂きました。研究目標である相互行為的聴衆論の確立に向け、演者と観客の一体感をさらに増強するデバイス?システムに関する研究を進めて参ります。」
インタラクティヴ?アートと展示グループリーダー
井口壽乃(人文社会科学研究科?教授)
「10月6日、児玉幸子さんによるデジタル技術と流体力学を用いたメディアアート作品を京都の伝統的日本建築の空間で展示し、インタラクティヴな鑑賞実験を行いました。最先端技術によるアートは、日本的感性と融合、共鳴しつつ、新たな美的精神世界を形成することが可能であるか、研究を進めて参ります。」
観客と共創する日本的芸術空間の歴史社会的分析グループリーダー
ビュールク?トーヴェ(人文社会科学研究科?准教授)
「シンポジウム『日本的演劇空間とは何か』(2018年3月10日、東京芸術劇場)では、江戸時代の歌舞伎劇場の建物と舞台構造、また劇場に集まった観客と演者の関係について検討し、そして西洋演劇の起源であるローマ演劇の劇場の概念と対照し、さらに明治以降、この概念が日本の演劇空間に及ばした影響について明確にすることで、日本的演劇空間の根源を問います。日本における演劇空間に集まる観客と演者のコミュニケーションに着目することによって、歌舞伎劇場を日本における公共圏の始まりとして位置付けることを目指します。」
アイドル応援システムの実演と実験を行う様子
10月28日に開催されたシンポジウム「アイドルと観客が共創する空間」にて
【参考リンク】