「彩の国女性研究者ネットワーク?研究機関訪問セミナー」を開催しました
2020/12/15
2020年11月20日、24日の2日間に渡り、老虎机游戏2年度彩の国女性研究者ネットワーク?研究機関訪問セミナーをオンラインにて開催しました。今年度は、埼玉大学及び芝浦工業大学の学生38名が参加し、日本ピストンリング株式会社、大正製薬株式会社、日本信号株式会社の3社を訪問しました。
11月20日 日本ピストンリング(NPR)を訪問
日本ピストンリング(NPR)訪問セミナーでは、埼玉大学ダイバーシティ推進室から趣旨説明の後、NPRのエンジニアの方々の自己紹介がありました。様々な部署から、男性、女性、若手、中堅、管理職など、8名の方が案内役として参加してくださいました。高橋氏の会社概要の説明、そしてNPRの歴史をまとめたビデオを視聴した後、NPRの案内役の方が、ラボの中を、タブレット端末を持って移動し、実際に訪問者の視線で、研究?開発、製造?販売をしている製品を見せてくださいました。NPRは、もともとエンジン部品の製造を行っているそうですが、近年は電気自動車への対応や医療分野へも、その技術を活かして進出しているそうです。例えば、NPRで実際に作っている「チタンタンタル合金の線材」は髪の毛の1/4の細さで、放射線治療や検査用途としてアプリケーション探索中だそうです。同社の研究開発技術が、製品として様々な分野で使用されている説明を受け、参加者からは「世界初の細さの線材は何に使いますか」「身体に入れることのできる金属は何ですか」「ピストンリングの性能はどのようなことで評価されていますか」等の様々な質問が出ました。
後半は、エンジニアとして働く入社22年の技術企画部の高村氏が、ご自身の仕事のキャリアとライフイベントについてお話しくださいました。入社後は、大学では経験できなかった「評価」等の配属になったこと、結婚、夫の単身赴任、出産、育休、育休後の子育て等について話してくださいました。時短勤務制度やフレックスタイム制度を活用しながら、働く時間を調整しているそうです。また、周囲への相談が重要とのことで、上司に相談をしながら仕事を進め、実績をあげ、本年度、課長へ昇進されたとのことです。「女性だからと諦めたくない。働きやすい環境を作るためには周囲との連携が必要。女性もスキルを磨いて、自信をつけて昇格すべきです」と、これから社会へ出る参加者の学生へ、エールを送られました。
参加者からは、「コロナで会社が変わったことはありますか」「仕事のイメージと入社した後のギャップは?」「文系の人はどのような仕事をしていますか」「男性の育休は?」等、多くの質問が出ました。質問の内容によって、入社2年目の方が答えたり、男性が答えたり、管理職の方が答えるなど、様々な立場の方が丁寧に答えてくださいました。「大変良かった」「たくさんの質問に率直に答えていただき、NPRのイメージが具体的になった」等の感想が寄せられました。
御登壇いただいた日本ピストンリング(株)の皆様
11月24日 大正製薬株式会社を訪問
大正製薬からは、5名で参加いただきました。最初に大澤氏から、会社の概要と製薬会社で行う研究のプロセスについてのお話しがありました。今回は準備していただいた研究所内部の写真を使って、総合研究所を案内していただきました。研究棟は、普段は一般公開されていないエリアとのことで、とても貴重な機会となりました。
その後、お二人の研究者から仕事の紹介がありました。入社4年目の土田氏は、工学部応用化学科の出身で、会社では、製剤?分析研究室で分析研究を行っているとのことです。「分析研究の魅力は、未知の化合物を扱っていて、様々な評価に携わることができる」と研究の魅力を語られました。「入社当初は初めて触れる分析機器を使用するので、最初は心配したけれども、丁寧に教えてもらい、今は自信を持って分析に挑んでいる」そうです。同氏はクスリの知識は全くなかったけれども、入社してから研究を通して勉強をして、その知識?技術を身に着けたそうです。「研究所は厳しいルールに則って実験をしていて勉強になる。バックグラウンドが異なる色々な人と仕事ができるのは楽しい」と、研究所で働くことの魅力をお話しくださいました。フレックスタイム制を活用している他、週1回は着付け教室に通っているとのことで、ワークライフバランスを充実させているそうです。
入社時に安全性研究室に配属され、それ以降、医薬品の安全性の研究に携わっている、入社20年の多田氏は、もともと理学部生体制御学科の出身ですが、薬の有害作用と有効作用のバランスを見極めるため、動物試験や細胞試験を行っているそうです。「自分の関わった製品が出るのは嬉しかった」との、仕事の醍醐味を教えて下さいました。とても専門性の高い分野の研究を行っており、同研究室では、各自が各分野のスペシャリストとして活躍しているとのことです。約1年間の育休を経て仕事に復帰し、育児短時間勤務制度やフレックス制度を利用して、状況に応じた働きをしながら、子育てと仕事を両立しているとのことです。
お二人のお話しの後、2グループに分かれて座談会を行いました。参加者からは「入社した理由は何ですか」「転勤はありますか」等の働き方の質問や、「安全ではないとの結果となった際にはどうするのか」「どのような疾患の薬の開発に力を入れているのか」「魚類などの実験もあるのか」等、仕事の内容を細かく尋ねる質問など、様々な質問がありました。
参加者からは「会社の雰囲気がよくわかった」「日頃、どんな仕事をしているかがわかり、仕事のイメージが膨らんだ」等の感想がよせられました。OGの研究者のお話を聞くことができたので、とても身近に感じていたようです。
御登壇いただいた大正製薬(株)の皆様
11月24日 日本信号株式会社を訪問
次に、日本信号株式会社を訪問しました。日本信号からは、4名の研究者の方が案内をしてくださいました。最初に、人事部の樫本氏から、会社概要と事業内容についてのお話しがありました。そして、業務の内容や研修制度、キャリアパスについてお話しくださいました。研修は4月から5月にかけて、時間をかけてじっくりと行うとのことで、現場に配属されるのは6月とのことです。今年はリモートによって研修が行われたそうです。「てつあつバディ制度」という独自の制度があり、先輩社員が新入社員とバディを組み、仕事を教えるのみならず、会社生活全般に渡ってフォローをしているとのことです。独身寮を備えていること、同社の福利厚生についても説明がありました。参加している外国人学生も、説明の内容がわかるように、同社の英語バージョンの紹介動画を視聴しました。
その後、女性エンジニア、男性エンジニアのお二人から、仕事の内容とキャリア、家庭生活についてのお話がありました。今年度から課長になられた入社28年の女性の課長からは、入社後から交通システム技術部の開発業務に携わってきたこと、そして近年では、自動運転の課題に取り組み、実証実験を行っているとのお話がありました。2年間の内閣府への出向を経て、今年度から課長になられたとのことです。3人のお子さんを育てながら仕事をするには、助け合うことが必要で、現在は充実した環境で仕事に取り組んでいるとのことです。「勉強は社会人になっても続いている。大学の勉強も仕事に役立ちます。」と、大学生の皆さんへ、今の勉強を大切にすることをお話しされました。
入社12年のCBTC技術部の男性社員からは、無線式列車制御システムの開発?実験をして製品化していること、そのマーケットは海外に広がっていることをお話しくださいました。CBTC技術を有している会社は日本の中でも数十社しかなく、同社はその技術の最先端にいるとのことで、ソウル、北京、インドのデリーやアーメダバード等の地下鉄のシステムを支えているそうです。機械システム工学科を卒業後、同社に入社し、2年目には、海外に1か月駐在してシステム開発に従事していたそうです。CBTCが低コストで大容量輸送に向いているシステムであること等、同社の技術について、熱く語られました。現在は、子育て中で、同社は子育てに理解のある会社だと感じているとのことです。
参加者からは、「とても役立つ内容だった」「幅広く社会に貢献している研究を行っていることがわかった」等の感想が寄せられました。
お忙しい中、本セミナーの準備をしてくださいました各社の皆様、本当にありがとうございました。
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