塗料?食品?インク?骨髄液に利用される『チキソトロピー』を解明し,制御する
藤森研究室 K?W
塗料?食品?インク?骨髄液に利用される『チキソトロピー』を解明し,制御する
藤森研究室 K?W
私が卒業研究で取り組んでいるテーマは,"チキソトロピー"です! ...と,言っても聞き慣れない方がほとんどだと思います.分かり易い例で言えば,マヨネーズやトマトケチャップが,静置している状態では固形なのに,押して圧力を加えると途端に流動化する...という,実は身近に溢れた現象です.これは例えば,「固めるテンプル」などの商品名が知られている家庭の廃油処理剤や,自動車や船舶の塗料の液だれ防止に積極的に活用されている技術です.こうした技術は,『チキソトロピー性添加剤分子』の開発によって,実現しているのです.
塗料や有機溶剤中に,ほんの1 %の『チキソトロピー性添加剤分子』を入れるだけで,その液体はゲル化し,圧を加えると再流動する現象が見られます.私は「ジアミド系界面活性剤」分子が,どのような機構で溶媒にチキソトロピー性を与えるのかを解明しています.実はこれには,分子のレベルでの"水素結合形成"や"結晶化",更にはそこから発達した螺旋状の"ナノ繊維形成"が大きく関わっているのです! そして私は,これらの解明した事実をフィードバックして,より高効率?高性能な,新規「トリアミド系」チキソトロピー性分子の開発に日夜,青春をかけているのです!! 卒業後,私は界面化学系の粘着剤メーカーに就職が決まっています.研究室で得た成果や知識と技術を,広く日本の「ものづくり産業」にも生かして行こうと思います.
海洋に眠るレアアースの高効率捕集を目指して??? -環状高分子の金属捕集性?水面上単分子膜の創出-
藤森研究室 K?F
2018年になって,南鳥島の海底に数百年分のレアアースの存在が確認されました.現在においては,モバイルデバイスやポータブルスピーカーなどに欠かせない材料になっている,レアアースやレアメタル.私達は今後どのようにして,これを確保し,維持していくのでしょう...? いち化学者の卵に過ぎない私には,そこまで大きな課題を解決するアイディアは,まだありません.しかし,海底に眠るレアアースを高効率で選択捕集する手段や,これを活用してカドミウムなどの有害金属を除去する手法なら,その確立に貢献することが出来ます.
この技術を確立するためには,様々なサイズの環構造を持つ高分子を合成し,これを水面上で単層膜化するというナノ構造制御を達成し,更に金属の捕集機能をブラッシュ?アップしていく必要があります.実現するには長い道のりで,卒業研究の1年間では,やりきれない壮大な夢だと考えています.
現在,私は大学院進学を目指し,受験勉強と並行しながら,この研究を鋭意継続しています.敢えて,「海なし県」の埼玉から発信される,海洋中のレアアース捕集技術の実現を目指して,目標に向かって突き進める喜びと楽しさを日々実感しています.
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